伝道者(コへレト)の生きた時代は大変厳しいものがあったように思われます。戦いがあり(8:8)、神殿に出入りして悪を行いそれがほめられる。どんなことが行われていたのかの報告はありませんが、彼らの信仰に関しての悪行がなされていたのでしょう。また、悪しきわざに対して判決が速やかに行われないといいますから、司法がちゃんと確立されていなかったのでしょう。
このような状況で、❝後に起こる事❞としての「終末」としての未来を語りません。それは隠されたもので、決して我々には明かされないものです。私たちは❝窮める❞ことができないのです。
彼は終末を嫌っています。それは終末を語り、未来をすでに知られたものとして語るということのなかに、今ということが疎かになるということがわかっており、「今」が辛抱する通過点であるという思いがあるからです。そうするといまはなんにも意味がなくて、人生が空虚なものになってしまうからです。ただ、未来のその時に向かってだけ生きていくことになります。
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