『ふたりはひとりにまさる』2020年10月18日 宣教

礼拝メッセージ

 一方でコロナ禍は、勝部さんにとって自分の原点を見つめ直す機会にもなったようだ。

 それは「いま目の前で困っているその人を助ける」ということ。この日も駆け足で街をめぐる勝部さんが、移動の車内でポツリと漏らした。「福祉の窓口で『制度がないからできない』と言われることがある。それはとても正しいけれど、優しくない。正しさは時に人を追い込む。だから私は、優しくありたいのだと思う」

 人と人がつながりにくい今だからこそ、皆の目がその大切さに向き始めているとも感じる。

「食材の支援を受けたひとり暮らしの大学生が、子どもの学習支援を申し出てくれたり、家にタオルが余っているからと寄付してくれる相談者の方がいたり」。今はとにかくこの困難を乗り越えてほしい。そして次は支える側に回ってくれたらどんなにいいだろう、と。「厳しい状況に人を見捨てる社会は、いつ自分も見捨てられるかわからない社会。今日のその人が、明日の私かも知れない。だから、頼ってほしい」

(朝日新聞2020/10/17夕刊 勝部麗子さんコミュニティーソーシャルワーカー)

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