このエペソ書簡が書かれた時代は、ローマ帝国によって地中海世界は治
められていました。この時代はローマの平和(pax romana)といわれ、ローマの
権力によって民衆は抑え込まれた、力による平和です。
次にこの町は、アルテミスの神殿があり、その信仰が篤いところでした。豊穣
神のこの女神への信仰は、神殿娼婦を伴い、社会倫理が乱れていました。さらに
この神殿には多くの金がささげられ、金庫としても機能し莫大な金銀財宝があった
そうです。様々な危機や誘惑が教会を揺るがすという出来事があった事でしょう。
そのような教会へ、悪魔と戦うように勧告します。そのために武具を身につけよ
というのですが「帯、胸当、靴、たて、かぶと、剣」と並べます。しかし攻撃用
武器は一つもなくて、槍、弓、矢はありません。「御霊の剣」は、本来供え物を
用意するのに用いるナイフだそうです。教会の、キリスト者の戦いは攻撃するの
ではなく、あくまでも防備のためのものなのです。
コメント