『聞いて、見て、手でさわったもの』6月6日(日)

礼拝メッセージ

 ヨハネ福音書とヨハネ書簡は、用いられている用語や概念・文法的特徴や思惟構造が極めて似ていることから同じ教会で成立したと考えられている。しかし同時に、相違も、あるので、同一著者が書いたとは言えない。

 福音書はユダヤ教の会堂(シナゴーグ)との緊張関係に置かれたヨハネ教会が、キリスト教の信じる「独り子なる神、イエス・キリスト」を鮮明に確認すために書かれたものであって、いわば教会の外との対立が執筆の状況になっているのに対して、簡は、いずれもヨハネ教会内部に起こった分裂を前提にし執筆されている点にある。ゆえに、ヨハネ教会を襲った第一の危機とも言うべきユダヤ教との訣別の時期に福音書は書かれた。

 後にこの福音書の読み方について福音理解に誤りが生じ、異端問題が第二の危機として襲った。     これに対応するために書かれたのが、ヨハネ書簡であるという見解がとられている。時代は福音書が80年代後半~90年頃、書簡が一世紀末前後と考えられる。

 -新共同訳聖書注解ーより

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