『十字架をめぐり』

礼拝メッセージ

 今日の箇所で、最初に出てきますクレネ人シモンという人に目を留めたいと思います。

クレネの地は、北アフリカの地中海沿岸都市(現在のリビア東部)で、古代クレナイカと

いう国の首都であったところです。ギリシャ植民地で、BC631 年に創設され、BC4世紀

頃からユダヤ人たちが住むようになったといいます。シモンはこの町出身のデアスポラ

(民族離散)のユダヤ人だったようです。彼が過越祭のためにエルサレムへ巡礼に来てい

たかどうかは不明だと言います。ヨハネ福音書は「イエスはみずから十字架を背負って」

と記し、クレネ人シモンへの言及はありません。ところが共観福音書(マタイ、マルコ、

ルカ)ではいずれもシモンがイエス様の代わりに、十字架を担ったと語ります。当時の

ローマ法では、処刑のために使う十字架を他者に担わせることを許していたようです。

また、マルコとルカはこのシモンのことを「郊外から出てきた」と記していますが、こ

れは「田舎から」、「畠から」、「郊外から」と訳出できる言葉です。十字架を担って

イエスの後について行ったクレネ人シモン・・・。

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